仕事や家事に追われて十分な睡眠時間が確保できない……。寝付きが悪い、途中で目覚めるなどで寝た気がしない……。
こんな悩みはありませんか?
睡眠不足が積み重なる「睡眠負債」の怖さに注目が集まっているが、そうした状態になると、集中力が低下したり、疲れやすくなったりするだけでなく、様々な体への影響があるそうです。その一つが、肥満のリスクが高まることです。

 

睡眠時間が短いと活動時間は長いのに太りやすいはウソ?

体重の増減は、エネルギーの摂取と消費のバランスが崩れたときに起こる。そして、睡眠時は活動量が少ない分エネルギー消費量が少なく、起きているときは活動量が多い分エネルギー消費量が多いのです。

 

睡眠時間が短い → 活動時間が長い → エネルギー消費量が多い → やせる
睡眠時間が長い → 活動時間が短い → エネルギー消費量が少ない → 太る

 

しかし、平均睡眠時間とBMI(肥満度を表す指標として用いられている体格指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で計算する。)の関係を調べた研究によると、睡眠時間が7~8時間の場合が最も肥満が少なく、それより短くても長くても肥満が増えるそうです。

先ほどの考えに基づくと、睡眠時間が短いのに肥満になることの説明がつかないですね。
そこで、短時間睡眠がなぜ肥満につながるのかを、エネルギー代謝の面から解明しようという研究で健康な若い男性9人で、以下2つの睡眠パターンを比較したところ、いろいろなことが分かったそうです。

 

 

3日間の3.5時間睡眠+1日のリカバリー睡眠(7時間)
3日間の7時間睡眠+1日のリカバリー睡眠(7時間)

 

3日目の夜7時から翌日のリカバリー睡眠後の夜7時までの48時間の、エネルギー消費量、深部体温(直腸温)、空腹感(アンケートによる主観的な評価)について、2つの睡眠パターンを比較した研究結果は、、、

 

 

睡眠時間の短縮と「エネルギー消費量」の関係

 

エネルギー消費量は2つの睡眠パターンのどちらも寝ている間は下がりました。
夜間は3.5時間睡眠のほうが起きている時間が長いためエネルギー消費量は多くなりました。しかし、日中は3.5時間睡眠のほうがエネルギー消費量がわずかながら少ない状態が続いたため、48時間トータルでは両者に大きな差は出ない結果だったそうです。

 

参考 Hibi M,et al.Scientific Reports. 2017;7:39640

 

 

睡眠時間の短縮と「深部体温」の関係

 

参考 Hibi M,et al.Scientific Reports. 2017;7:39640

「深部体温は、3.5時間睡眠の場合も7時間睡眠の場合も、夕方から夜にかけて徐々に下がり、朝から夕方にかけて上がるというリズムを描きましたが、3.5時間睡眠の翌日は、朝から夕方にかけての深部体温が低くなっていました。体温が低いということは、代謝が低い状態になっていたと考えられます。

体温が低いと脂肪分解酵素であるリパーゼの働きが悪くなり、脂肪が燃えにくくなることが分かっています。

 

 

睡眠時間の短縮と「空腹感」の関係

 

参考 Hibi M,et al.Scientific Reports. 2017;7:39640

 

3.5時間睡眠の翌日は空腹感が強い傾向にあり、特に寝る前が顕著でした。しかし、面白いことに、リカバリー睡眠後は差がなくなっていました。
さらに、それぞれの睡眠を3回続けた後(4日目)の朝とリカバリー睡眠後(5日目)の朝に血液検査をしたところ、3.5時間睡眠後はPYYという食欲を抑制するホルモンの分泌量が減っていて、リカバリー睡眠後は元に戻っていることが分かります。

 

 

これらから分かることは、短時間睡眠が続くと、1日のエネルギー消費量は通常睡眠(7時間睡眠)と変わらないが、食欲抑制ホルモンの分泌が減るなどして『食欲が増す』ということです。つまり、睡眠不足はエネルギー摂取量に影響して体重を増やす方向に働くと考えられます。